


ひむか共和国の話題
となりはトトロ
門川駅の朝です。ベンチに座っておしゃべりしながらプリントをめくる女子高生三人。今日はテストの日だから少し遅く登校してもいいんだけど、やっぱりいつ もと同じ列車で仲良く通学してきた。余った時間に駅のベンチでテスト勉強の追い込みというわけです。それにしては緊張感を感じさせないリラックスした笑顔 なのは、きっと自信があるんだね。
大きな荷物を背負って現れたのは、遠く札幌から椎葉に旅をしてきたという登山仲間のご婦人たち。
「椎葉の山と民宿、最高だったわよー。」大満足で帰路へつくところ。となりはトトロの看板でハイ、チーズ!
上り特急の出発時間が近づく頃訪れたのは、初めてここから列車に乗って博多へと帰る橋崎さん。窓口で受け取った切符を手に少し戸惑っている様子。
「こんな切符は初めてです・・・博多駅の自動改札は通れませんよね。」
そうそう、だってこの切符、行き先はゴム印で押してあるし、料金は手書きでしたためられているし、裏面も真っ白で磁気なんてどこ吹く風?的な、全くアナログな、まるで古き良き時代の切符なのですから。
「め、めずらしいですよね・・・」と苦笑いの橋崎さんに、この切符はね・・・鉄道ファンに大人気の、実は貴重な手書き切符なんですよ!と教えてあげると、照れくさそうに写真を撮らせてくれました。
さて午前8時近く、延岡から普通列車が到着すると、これはびっくり、予想外にたくさんの高校生が降りてきました。楽しそうにはしゃぐ女子高生たちのにぎやかなこと。今日はテストだよ、みんな頑張れ!
その後の駅はのんびりと、のどかな時間が流れます。大好きな先生のいる日向の病院に、まるでデートにでも向かうように楽しそうに出かけていくお母さんとひ としきり話しをして、手を振って見送った後、ふと反対側のホームを見ると、色とりどりの花が鮮やかな花壇を黙々と手入れする人たちがいます。彼らは『西の 丸一善の会』の皆さん。三百人近い社員の先頭に立って日々様々な奉仕活動に取り組む西谷会長は額の汗をぬぐいながら穏やかに答えてくれました。「ただ、感 謝の気持ちを一日一善で表しているだけです。」
こんな人たちのおかげで、駅は今日もたくさんの人の心安らぐ、ささやかな旅の舞台であり続けられるのですね。手作りの温もりが感じられるのは切符だけではありませんでした。
となりはトトロ、日向と延岡の間にある門川駅から手書きの切符で小さい旅を・・・次は延岡を訪ねてみましょう。
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